■ むかしむかし ■
「ソーキそば(大)」
700円
価格の満足度 ★★★☆☆
麺の満足度 ★★★★☆
ダシの満足度 ★★★★★
総合 ★★★★☆
そば激戦地のこのエリア、それぞれの店のレベルが高いのはうれしい限りですが、売り切れ次第終了・閉店というお店も多く、人気店になると午後2時前に完売閉店という場合もあって、こちらのお店もずっと気になりつつ、通り過ぎる時は既に閉店後ばかりで訪問できずにいました。看板に『沖縄伝統麺づくり』と謳う木灰汁をつなぎに使って打った麺とのことで、「むかしむかし」という屋号も気になるところです。
実は、名護市街地の名護十字路角にある未訪問の人気店(ネットでのそば屋人気ランキング4位と窓に張り出されていました)が、訪問日の翌日10月13日に店を畳むという情報があったので、最初はそちらに向かったのでしたが、結果的には金武町の「いしじゃ」に立ち寄ったのがロスタイムとなり、11時半開店の店の前に順番待ちの行列ができているのを横目に、車を駐車場に入れに行き、10分後くらいに戻ってみると、すでに列は消え「完売」の札が下がっていたのでした。時は12時半過ぎ。
沖縄を離れた2008年以降にも名護十字路は何度か通っていますが、その時、その場所にこのそば屋はありませんでしたから、恐らくは2年以内にできたくらいのお店だったはず。けれど早くも廃業してしまうように、新しい沖縄そばのお店は消えるのも早い気がしてなりません。事前リサーチして訪問しようと思っていた、まだ新しいお店が、足を運んでみたらラーメン屋や居酒屋に変わっていたという例が、今回の沖縄訪問では3軒もありました。
そのお店には結局縁がなかったと気持ちを切り替えて向かったのは、とにかくそば屋が多い県道84号線。「ブラジル食堂」への上りや名護パイナップルパークを過ぎ、少し山間部にかかったあたりにあるのが「むかしむかし」。カラフルな店構えには少々引いてしまいそうですが、店内に入ると、テンポが早いそば屋さんの消長とは無縁であるかのような、落ち着いた雰囲気と時間が流れていました。店主は陶芸作家さんのようで、壁には地元新聞社主催の陶芸展で入選した賞状が、陶器とともに飾られており、隣接の別棟には窯もあるようで「窯元」の看板も出ていました。また、木製テーブルや椅子にも手作りの暖かさが感じられます。
注文したのは「ソーキそば」。「いしじゃ」で一時間半ほど前に食べたばかりながらも、まだ食べられそうだったので「小」ではなく「大」にしました。壁に貼られた説明によれば、木灰は裏山から切り出した木から作り、ネギ、ゴーヤ、パパイヤは自家栽培の“自産自消”だとか。また裏山ではヤギの飼育もしていて、ヒージャーそばと山羊カルパッチョには、そのヤギ肉を使っているそうです。
登場したソーキそばの麺は、確かに伝統的な木灰つなぎの感じがする北部の平麺で、木灰つなぎの特徴かもしれない強いコシが感じられますが、プリプリとかモチモチとか表現される麺のタイプではありません。僅かに小麦粉の粉っぽい匂いが混じっているようであり、強いコシと似た歯ごたえの一部は、短めの茹で時間が理由の生っぽさだったかもしれません。それゆえに麺は★1つ減です。
ダシはカツオの風味がしっかり出ていて味がトロンとぼやけずクッキリと、引き締まった美味しさ、本当に北部のそば屋さんのダシはレベルが高く、こちらも★5つの感じ。トッピングのソーキは少し味が薄めで肉がやや硬め。あっさり上品系のダシの味を濁らせることがないように配慮しているのかもしれませんが、もう少し煮込まれ身離れのいい、野生的な味が個人的には好みです。ひとつ残念なのは、最初から紅ショウガが載せられていたこと。ダシに浸りそうになる前にゴッソリ取り除いて食べ、麺も着色の紅色が移った部分を真っ先に食べて、紅ショウガの色と味がそれ以上溶け出すのを防ぎ、そんなこともあって総合は★4つです。
サービスとして、パッションフルーツ果汁を使ったゼリーかアイスコーヒーか自家製陶器コースターのうち1つ選べるとのことなので、ゼリーをお願いしましたが、観光の方には素焼きのコースターがいい記念の品になりそうです。お店玄関の左に、紅芋を使ったお菓子の写真が添えられた「Dolce畑人(はるさー)」の看板が立っていました。スイーツ系も扱っているのかは未確認ですが、デザートに出されたゼリーも自家製だったのかもしれません。
所在地:名護市中山
電話:0980-54-4605
営業時間:11:00~18:00(売り切れ次第終了)
定休日:第2・4火曜
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