■ 島豚家 ■
「炙りなんこつソーキそば」
800円
価格の満足度 ★☆☆☆☆
麺の満足度 ★★★★☆
ダシの満足度 ★★★★☆
総合 ★★☆☆☆
最近『本部そば街道』という言葉が使われ始めた、本部と伊豆味経由で名護を結ぶ県道84号線沿いには、本当にそば家が増えましたが、その中でも一番後発かもしれないのがこのお店です。県道沿いの未訪問そば家をどこか訪れようと、渡久地漁港から名護へ向かい始めていたのですが、かつて訪問した『石くびり』を懐かしく見送って、少し先に車を走らせると、右側に記憶のない目立つ看板が。
その赤い看板に黒い文字で書かれた『島豚家』という屋号に、『自家製麺』の文字も見えてしまってはもういけません(^^;足は反射的にブレーキを踏み、ハンドルは右に切られていました。ところで、『島豚家』という屋号にどこか聞き覚えがあるような・・と思ったら、那覇への帰路で恩納村の58号線沿いに『しまぶた屋』という沖縄料理店がありました。何度も通っている58号線ですから、無意識の記憶になっていたのでしょう。ただ、こちらのそば家さんは漢字表記ですから、ひらがな表記の沖縄料理のお店とは関係なさそうです。
お店の前に車を停めると、入り口の右側に立つ大きな看板には「◎コシのある自家製生麺(太麺)」など、こだわりの数々が大書されていて期待は高まります。中に入るとかなりの広さで、数十名は楽に入れそうな席数があります。さてメニュー・・と見たところでびっくり!このエリアの沖縄そばとしては非常に高いお値段です。
店内には『やんばる島豚あぐー』の証明書が額に入って立っていました。希少な沖縄在来種の豚「アグー」と西洋種を交配し「沖縄県アグーブランド豚推進協議会」の指定を受けた「アグーブランド豚指定生産農場」産の肉を使っていることが、この価格の主な理由かもしれません。また他の素材も県産のものを使い、相当なこだわりを感じさせてくれます。またメニューの豚肉はすべて『炙り』になっています。
ともあれ、フラグシップ・メニューの『炙りアグーソーキそば』1200円は、いくら何でも・・・のお値段なので、普通サイズのそばメニューでは最低価格800円の『炙りなんこつソーキそば』を注文しました。メニューには「当店の麺は極太生麺をご注文いただいてからゆであげる為、少々時間がかかります」と書かれていたので、待ち時間が多少かかるのは覚悟して待ち、ふと目を上げた視線の先、厨房手前のレジカウンターに「つけ麺」の張り紙。沖縄そばにも、ついにつけ麺や混ぜ麺の流れが押し寄せてきているのか・・・と、複雑な思いにとらわれます。何せ、つけ麺や混ぜ麺(冷やし中華は除く)を食べると、ただ濃いだけの味にごまかされているとしか感じない私にとって、こいつら天敵なんですから。
さて、12分後に運ばれてきた『炙りなんこつソーキそば』。箸をつける前にまずダシを・・・と、そのまますすってみると、カツオのダシがよく利いた証でもある、ほのかな酸味を伴う香り高い風味に『期待どおり!』と納得して、いよいよ麺です。こちらも北部ならではの平麺で、手打ち独特のツルツル感はありますがコシは何か粘り不足という感じが。そのとき・・・口に入った炙り軟骨ソーキの焦げた臭いと甘ったるい濃い味が、上品なダシと麺の風味のすべてを、奈落の底の暗闇に突き落とすかのような感覚が・・。
何だこれは?と思いつつ、箸で軟骨ソーキをもてあそんだから、さらにいけません。上品なカツオダシの香りは突然曇って濁り、どこか混ぜ麺かつけ麺を食べていると錯覚するほど濃い味に変わったうえ、トッピングの半熟ゆで卵の黄身が溶け出したかと思うようなネトッとした雑味が混じると、もういけません。ダシの味が濃過ぎてくどいだけのものに変わってしまったのです。せっかく選りすぐった素材が、調和を欠いてバラバラの寄せ集めとしか感じられなくなったのは、軟骨ソーキの調味の問題と『炙り過ぎ』に理由があるかもしれません。
経験則では、まぜ麺・つけ麺系を好んでメニューにするお店は、(沖縄そばに限らずラーメンもですが)味が濃くてくど過ぎるのが常。この上品なカツオダシと素晴らしい麺があるのなら、トッピングのあぐー豚にもほんの僅かな塩分があれば、至上の沖縄そばができるかもしれないのに・・・と、残念でなりません。ダシは本来★5つの最高かもしれず、麺も★4つの高い水準ですが、トッピングは素材の持ち味を殺してしまっているだけでなく、全体の足も大きく引っ張って総合は★2つ。また、この素材ということがあるにしても800円は割高に過ぎると思いました。
所在地:国頭郡本部町字東500-4
電話:0980-47-7222
営業時間:11:00~17:00(売り切れ次第終了)
定休日:金曜(祝祭日の場合は営業)
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2013年7月3日水曜日
国頭郡本部町・島豚家・炙りなんこつソーキそば
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