Translate

2007年9月21日金曜日

那覇市・若松食堂・そば

若松食堂・そば■ 若松食堂 ■
 「そば(500円)」
  500円

 価格の満足度 ★★★☆☆
 麺の満足度  ★★★★★
 ダシの満足度 ★★★★★
 総合     ★★★★☆

 しばらく前から気になっていたお店です。やっているのかやっていないのかわからない、お店の屋号の看板もない、ただガラス戸の貼り紙が一枚、「三枚肉そば 200円」(!)とあるだけ。その破格のお値段と店構えとから、「アサヒ食堂」と同じディープな世界を連想していたのでした。

若松食堂・看板 いよいよ訪問日。何度も横を観察しながら通っていたのに気付かなかったのか、歩道上に立て看板があり、そこには「そば」「400円」「500円」の文字??

 開け放たれた網戸の向こうで、おじーとおばーが二人でお茶を飲んでいる風。恐る恐る「そば、やってますか?」と尋ねると、ご夫妻もびっくりしたように、あわてて「はい、はい、いいですよ~」と、食器を片付け始めたのです。

 で、「うちのそばが初めてで試してみたい人は、200円で少ない量にできますよ。」とのこと。ああ、200円はお試しコースだったのかと納得して普通の量でいいと告げると、400円と大盛りの500円ができるとのこと。一物三価じゃなくてそういうことだったのかと納得。

 その日は400円を注文。で、そのうまかったこと!懐かしい家庭料理の味というのでしょうか、おばーの説明によれば、最近の若い人が作るそばは調味料を使うから、その味に慣れていると、うちのそばは口に合わないかも・・と、えらく謙虚です。しかしどっこい、厨房を見れば大きな三枚肉の塊をじっくり煮込んだらしきダシの鍋と、スライスした三枚肉を醤油と砂糖(恐らく黒糖)でよく煮込んだ平鍋が見えています。

 で、おばーはおもむろに三位肉のダシを火にかけて沸かし、丼に入れてから、今度は味付け三枚肉のタレを丼に入れて調合。それから小皿に少量を取って、ていねいに味見をしているのです。これが本当のおばーの「てぃーあんだー」料理だな・・と感動のシーンでした。

 「おとうさん、そば!」と声がかかると、大きなストッカーから冷凍?されていたらしき麺が取り出され、湯で戻したあと完成。その麺はモチモチ感たっぷりの縮れた太角麺。「うるくそば」や「我部祖河」でお目にかかれるような、一番好みのタイプですぅ(^^)

 食べ始めて「ショウガ使いますか?」と聞かれたので、「いりません」と断ると、おじーが「お客さん、本当にそばが好きさぁ」。

 尋ねれば、ご夫婦だけでこの地で50年以上続けているお店で、やはりというか意外にも、「我部祖河」に麺を仲卸ししているのだそうです。なるほど、それで我部祖河と同じ、私好みの麺だったのか~・・。

 そこから、おじーとそば談義が始まって延々10分。ふと気がつくと麺の撮影を忘れていたことに気付いたのでした。しかし、この懐かしい絶品のダシと麺の調和がたまらず、「また来ます」と約束して、再度訪問して食べたのが、今回の500円の大盛りでした。

若松食堂・外観 約束どおり再訪し、店に入る前に看板の撮影をしていると、もうおじーは気付いたらしく、にこにこしながら「はい、来たね」と出迎えてくれました。ただ店内の撮影をしたいと告げると、おばーは「写真取られるのは好きじゃないさ、悪いことする人いるからね」と不機嫌に。食べ歩きをしていると事情を話して何とか納得してもらいましたが、微妙にブレているのはおばーのプレッシャーのせいでしょう(^^;

 おばーは、沖縄の人たちがのんびりしていて、大和の人たちに何でも取られてしまった歴史の話をしてくれました。深い歴史の中で沖縄が位置している立場の重さを、おばーの言葉の端々から感じました。おじーは「これは口が悪いから、叱ってやってくださいね。」とニコニコしながら弁明してくれました。

 口が悪い人に本当の悪人はいませんよ、本当に悪い人は口がうまいから」とお返事しておきました。

 おじーの定位置の机に置かれていた小型のポータブル白黒TVに気付いたのはその時。見紛うこともない、学生時代に下宿で使っていた5インチ画面、ロッドアンテナつき、回転式チューナーで、National製の深緑色のボディ。懐かしさがこみあげてきましたね~。側面には「78年製」のシールが。30年使っているのは凄いなぁ・・とまたTV談義。

 帰りに店の屋号を確認すると、「ここは若松、若松食堂ですよ。」とのこと。出口でニコニコと「たくさん宣伝してくださいね」と言いながら見送ってくれました。


所在地:那覇市松山2丁目

0 件のコメント: