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2007年12月23日日曜日

本部町・きしもと食堂・そば

きしもと食堂・そば■ きしもと食堂 ■
 「そば(大)」
  600円

 価格の満足度:★★★☆☆
 麺の満足度 :★★★★☆
 ダシの満足度:★★★☆☆
 総合    :★★★★☆

 シャッターが降りたままの店ばかりが立ち並ぶようにも見える本部町の渡久地港は、クロワッサンの形をしたといわれる水納島へ渡るボートの発着場であり、また漁港でもあるのですが、那覇から美ら海水族館へほぼ直行・直帰するレンタカーの皆さんのほとんどはまず訪れない、静かなたたずまいを感じさせてくれる港です。

 ところがそのひっそりとした静けさの中で、ただ一ヶ所熱気がみなぎるスポットになっているのがこの「きしもと食堂」です。11時の開店直後から、ほぼ全員が観光客で構成される行列ができ、地元の方はまず近寄ろうと思わない・思えない雰囲気になります。

きしもと食堂・外観 店員さんは対応に追われて、空いた席を取ろうとする客と順番待ちの誘導がかみ合わず、客同士が殺気立った視線で『私が先よ!』と火花を散らします。ここだけはビジネス街のランチタイムの光景、それもビジネス街とはまったく異質なのんびりとした風情の漁村で、そこだけ大都会がそのまま移動してきたように殺気立った混雑なのです。

 開店直後でも店内にはすでに20人ほどが陣取っていたでしょうか。しかし、見回すと全員が観光客らしい方ばかりです。

 行列か立っているだけなのかわからない3名が、開いたままの戸口から出入りしています。その横からお店の店員さんに「すみません~」と声をかけると、目の前にいたベビーカーを押した若い女性が、「私が先なんですけど!」と血走った鋭い視線を向けてきました。

 そう広くはない店内の鴨居にはTVタレントとお店の方が並んでいる記念写真が、額に入って掲げられ、壁には、いわゆる著名人や芸能タレントのものらしい色紙が、所狭しと張り巡らされています。

きしもと食堂・店内 メニューは至ってシンプル。「そば大」600円と「そば小」450円に、パックに入った「じゅーしー」だけ。その「じゅーしー」も「炊き込みご飯」と言い直さないと意味が通じないお客さんが大半らしく、店員さんが忙しそうに説明していました。

 麺はもちろん自家製です。これまでの150数軒で最も太い極太麺は、そばというよりはむしろうどんを思わせます。食感もうどん的で、沖縄そばとしては少々異質なタイプ。その太さゆえか、粘り腰というよりは弾力のある腰です。ただ、那覇と北部では元来そばのタイプが違っているのかもしれませんが。

 ダシは豚肉+カツオ+昆布or鶏に、みりんの甘さが利いた醤油のベース。麺がうどん的なせいかダシまでうどんつゆのように感じました。私の好みとしては、みりんの甘さが強すぎるのともう少し味に深みが欲しい気がします。でも、この「うどん的」の取り合わせはさすがによく合いますね。

 総合は、あまりの混雑にゆっくり味わう気分になれないのと、ダシの甘さが少々残って気になるのとで実感は★3.5個くらいながらも★4つ。

 あまりにも有名なお店は、時としてその有名さがアダになる場合もあるものですが、創業1906年で現在3代目らしい「きしもと食堂」も、マスメディア取材やクチコミ情報の荷が重過ぎて、地元の皆さんから愛されてきた「普通の食堂」に戻りたくてももはや戻れないという、望まぬリスクを抱えてしまったように感じてなりませんでした。

所在地:国頭郡本部町字渡久地

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